【シリーズ 私の臨床10】小さな難聴児たちへの新しいチャレンジ
大学生だったときの話です。とある県のセンターで、補聴器を着け始めたばかりの1歳の男の子と遊ばせていただく機会がありました。くるくるチャイムにボールを入れて遊び出すと、その子はキラキラとした、本当に純粋な目で私をみつめてくれました。重い難聴があるはずなのに「アーアー」と元気な張りのある声を出しながらヨチヨチと歩く姿を見て、こんな専門領域の仕事があったのかと衝撃を受けました。1990年代半ば当時、言語聴覚士はまだ国家資格ではありませんでした。
その後、言語聴覚士として聴覚障害の子どもと関わるなかで、乳幼児聴力検査の改良も手がけました。デジタル補聴器、人工内耳、学校教育用のワイヤレスマイクロホンといった新しいテクノロジーも次々と開発されてきます。これらは医療デバイスである一方、子どものことばと発達の土台を支える教育用デバイスという側面もあり、熱意を注がないといけないことだと思い知りました。2000年代の後半、新生児の難聴発見のためのスクリーニング検査が広まり始めました。0歳の赤ちゃんにどのように対応するか、ご両親の子育てをベースにどう構築するかは新しいチャレンジです。下記のYouTubeへのリンクは、前職のときに耳鼻科の先生方から受けたインタビューです。専門家向けの内容ですが、ご興味のある方はどうぞご覧下さい。
https://www.youtube.com/watch?v=nMBkD0r-THc
言語聴覚学科 富澤晃文