薬学部5年生 田中杏実さんの研究テーマが 「世界一を目指す研究開発助成事業」に採択
薬学部年齢軸生命機能解析学分野5年生の田中杏実さんの研究テーマが、栃木県産業振興センターの公募する2022年度「世界一を目指す研究開発助成事業」に採択されました。同助成事業は、栃木県内の中小ものづくり企業や理工系大学等の高等教育機関に属する若手の研究者や技術者が、「小さくとも世界一」の技術等の開発を目指して行う事業を対象とした助成です。
【研究テーマ】
「明暗条件下での遺伝子発現解析を可能にする組織密着型センサーシステムの開発」
【概要】
生体深部の複数部位から遺伝子発現を長期間、リアルタイムに計測することは、生体リズムの乱れから誘発する癌、鬱病、睡眠障害、糖尿病などの疾患の発症機構や治療薬開発に大きく貢献することが可能である。だが、現在そのような器機が存在していない。
本研究では、地球環境の明暗サイクルに近い状態で長期間遺伝子発現が計測可能なシステムを構築することを目的とする。
これまで、生体の遺伝子発現を計測・定量するには恒暗条件下で行うのが通例でした。
本研究は、遺伝子発現定量を、地球上の昼夜サイクルに近い明暗条件下で、生体複数組織から長期間リアルタイムに遺伝子発現計測を行うものです。自由に動いているマウスの遺伝子発現を明暗サイクル下で、計測する技術は薬学部年齢軸生命機能解析学分野の卒業生、中屋美月さん(現アイセイ薬局)および若松美穂さん(薬学部6年生)らにより確立しました。今回、明暗条件下、生体リズムの乱れを計測するために体の複数部位の遺伝子発現を計測するためのシステム構築を行います。
本研究は、現代病の一つである生体リズムの乱れから発症する疾患である睡眠障害、糖尿病、癌(特に乳がん)、不妊症などの発症機構解明に貢献できます。さらに計測が不可能であった明暗条件下、植物の長期間の遺伝子発現計測が可能となることから、植物に対する地球上の長期的な季節変化や環境変化の影響が解析でき、農作物の品質改良に貢献できると考えられます。