第147回 日本薬理学会関東部会で薬学部年齢軸生命機能解析学分野の瀬林雅貴さんが学生優秀発表賞に選ばれました
第147回 日本薬理学会関東部会で薬学部年齢軸生命機能解析学分野の瀬林雅貴さんが学生優秀発表賞に選ばれました。
「覚醒剤が内的脱同調機構を誘発する過程を可視化する」
瀬林 雅貴、茂手木 ひなき、田中 杏実、浜田 和子、浜田 俊幸
(国際医療福祉大・薬・年齢軸生命機能解析学分野)
【発表内容】
覚醒剤メタンフェタミン(MAP)は生体に逆耐性機構を形成するが、生体リズム機構にも作用する。脳内体内時計中枢SCNが統合的に体の各組織の活動リズムを制御する機構をMAPは乱し、生体リズム周期が24時間から大きくずれ、睡眠覚醒リズム周期が延長する。しかしながらSCNはMAPの影響を受けず24時間周期で機能するため、生体内で内的脱同調現象が誘発される。内的脱同調はさまざまな疾患誘発の危険因子として作用するため、内的脱同調機構の解明は重要であるが、詳しい発症機構は不明である。今回、我々は生体リズムの内的脱同調機構を解析するシステムを開発することを試みた。さらにMAPが内的脱同調機構を誘発する過程を、時計遺伝子Per1発現をリアルタイムに定量することで可視化することを行った。独自に開発した紫外光(UV, 370nm)を利用した明暗サイクルUV-LDをもちいることにより容易に内的脱同調現象を人工的に作り出すことが可能であり生体リズムの乱れを解析できることを明らかにした。さらにこのシステムを用いることで内的脱同調が誘発される長周期へのリズム変化においてPer1遺伝子発現ピークがスプリットすることが、遺伝子発現と行動リズムの周期が変化するための誘発因子である可能性を示した。