大田原キャンパス

作業療法学科

DEPARTMENT OF OCCUPATIONAL THERAPY

作業療法学科

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学科長のごあいさつ

作業療法学科長
関森 英伸教授

国際医療福祉大学保健学部作業療法学科卒業(3期生)。卒業後、国際医療福祉リハビリテーションセンターなす療育園勤務。
その後、母校である大田原キャンパス保健医療学部作業療法学科教員となり現在に至る。国際医療福祉大学大学院博士課程修了(保健医療学博士)。

出会った方々の生活を、そして自分の将来をより豊かにする仕事

我々作業療法士の対象は幅広く、支援手段も幅広いため、なかなか掴みどころが無く、これから作業療法士を目指して良いのか?と自分の進む道に不安を感じる方もいるかもしれません。真剣に人生と向き合っている証拠であると思います。我々の出会う方々(対象者と言います)は、これまで当たり前の生活・人生を送ってきた過程で、障害や怪我等により、突然、当たり前が『できなくなった』状況に陥り、これからどうしたらよいか『不安や困りごと』を抱えている方々です。これから、これまでの当たり前の生活・人生を取り戻し、社会でその人らしく豊かに生活するために、誰かの介入が必要な方々です。そして、作業療法士のミッションは、『応用的動作能力(座る、歩くなどの基本的動作の先にある生活するための行為全般の能力)』、『社会的適応能力(生活している社会で上手くやっていく能力)』の向上を目指すことを国家資格で求められています。この2つの能力は人間が社会生活を送る上で欠かせない能力であり、生まれてきた全ての人間に保障されるべき能力です。これら2つの能力の向上を目指す学問の学びは、我々の出会う方々の生活を豊かにするだけでなく、自分の生活を豊かにする能力を備えるきっかけとなります。自分の社会生活経験を意識するきっかけとなり、その意識や経験が自分や対象者に役立つことに気づきます。

明るい話題が限られている昨今ではありますが、時代が変わっても、我々、対象者は社会生活を続けていきます。そして、我々ひとりひとりの社会生活は誰ひとり同じ方はいません。我々作業療法士は、対象者に合わせコミュニケーションをとりながら、その方々の生活や人生に真摯に向き合い支援を考える役割を担っており、AIには取って代われないとても人間らしい、人間にしかできない職業です。つかみどころが無いからこそ変幻自在で、時代に合わせて支援手段や活躍の場が広がっているのも大きな特徴であり、これからの時代、活躍が期待されます。私は皆さんと同じ高校生時代、今の自分を全く想像できませんでした。しかし、中学時代の病院でのボランティア経験がきっかけとなり芽生えた『誰かの役に立てないか』という思いが、今の作業療法士としての自分に繋がっています。そして、養成校で学んだ各種知識や臨床経験を活かし、出会った方々から多くのことを学び、作業療法士を選んで良かったと胸を張って言える今があります。皆さんがこの文書を読んだきっかけは様々であると思いますが、少しでも『人のために、誰かのために役に立ちたい』という思いが芽生え、医療福祉の道に興味をもってくれたのであれば、作業療法士はとても可能性のある職業であり、一先輩としてお勧めします。

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新しいフェーズへ

卒業生数日本一、教育評価機構の評価でS評価(最高位)、世界作業療法連盟(WFOT)認定校、と大田原キャンパス作業療法学科は30年の歴史で一つの成功モデルを確立しました。この成功の裏には、日本の作業療法士のパイオニアである諸先輩作業療法士の先生方の熱心な教育と、それを引継ぎ世の中の役に立ちたい、と願い集まった我々在学生が積み上げてきた結果であると考えます。私もその環境下で本学3期生として学び、その知識や経験を地域社会で活かし、今があります。30周年を迎えていく現在、国際医療福大学大田原キャンパス作業療法学科は新しいフェーズに向かいます。大田原キャンパスで諸先輩作業療法士の先生方から我々卒業生に繋いできたバトンは時代に合わせて引き継がれ発展し、これからも我々の対象者に活かしていく役割があります。本学の建学の精神である『共に生きる社会の実現』を大切に、医療機関での支援に留まらず、対象者がもともと生活していた地域社会で『その人らしい生活』を当たり前に行うために、卒業生を中心とした組織となった我々は、本学で学びたい、という未来の作業療法士にバトンを繋いでいきます。

これまで2300名を越える、卒業生、現在本学科に所属する在校生を合わせると2600名、『数は力』です。この力を十分に活用し、縦の繋がりを強め、お互いに学び助け合う試みをこれから展開していきます。これからの時代、世の中で活躍するのはあなたです。我々は作業療法士の先輩として、国際医療福祉大学の先輩として、諸先輩先生方が我々に提供してくれた見聞や、現在我々が携わっている活動等に参加・体験する機会を惜しみなく提供していきます。作業療法士として活躍するまだ見ぬ将来を、本学科に入学し、私たちと共に作り上げていきましょう!

毎日の生活に必要なさまざまな力を取り戻したり、新たに見いだす仕事

実習の様子の画像

作業療法士は、医療、保健・福祉領域の各現場をはじめ、教育領域の養護学校、職業関連領域の授産施設や小規模作業所などに勤務し、食事・衣類の着脱・洗面・入浴といった日常的な身の回りの活動や、買物・掃除・他人との交流・余暇活動・仕事などのより広い社会的な活動を行う力を取り戻したり、新たに見いだすことを仕事とします。

対象となるのは、身体的障害、精神的障害、発達的障害、老年期特有の障害などを持つ人々や障害が予想される人々で、治療や援助の内容も患者の状態、疾患や障害の特性によって異なります。例えば、手に障害を負った人ならば、その人が好む手作業を行うことで関節を広げ、筋力を増強させ、より細かな動きが行えるよう導き、他の子どもと上手に遊べない幼い子どもならば、遊びの内容を工夫し、その子どもの社会性を伸ばすように働きかけます。

回復が難しい場合は、失った機能を代償する自助具や他の福祉機器を工夫、開発したり、住宅環境の改善も行います。

障害を受けてからの時期や勤務する領域を考えた仕事内容

作業療法士が働く現場は、「急性期」「回復期」「維持期」というふうに、障害を受けてからの時期で特徴づけることもできます。

急性期では、後々にできるだけ障害を残さないための治療を、回復期では、受けた障害を回復させつつ、代償機能の開発にも目を向けます。維持期では身体的・精神的な機能を維持し、低下を予防。

また、家庭で生活する人も対象となり、地域の医師、保健婦、福祉専門職などと協力することも多くなります。また、勤務場所が都道府県全域を対象とした広域機関か、一つの市町村を対象とする機関かによっても、役割が違います。

障害を持つ人々が速やかに日常生活に復帰するために、作業療法士たちが各々の役割や立場を理解して協力し合うことが大切なのです。

前向きな気持ちを引き出す関わり。それが良い結果を生み出す

作業療法士が何よりも心がけるべきことは、対象となる人々のこれまでの生活や価値観を大切にし、社会生活に復帰したい気持ちを支えること。

どんなに作業療法士たちが懸命に働きかけても、本人たちが前向きに取り組む意志を持てなければ、治療や援助の過程で多くの困難が生じます。障害を持つ人々が前向きに生きる力を支える知識・技術を学ぶ努力と現場の経験の中から繰り返し学ぶ努力が、やがて実践の場での最良の結果を生み出すのです。

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