大田原キャンパス

医療福祉・マネジメント学科

Department of Social Services and Healthcare Management

医療福祉・マネジメント学科

精神保健福祉分野のソーシャルワーク(アディクション等メンタルヘルスと家族支援)

アディクションとソーシャルワーク

アルコール・薬物・ギャンブル・ゲーム。人が生きづらさを抱えた時に苦痛を緩和するために使用され、悪習慣としてやめようとしてもやめられなくなってしまうのがアディクション(依存症)です。

精神科病院や独立型の相談室でソーシャルワーカーとして活動してきた中で、アディクション関連問題の深刻さや次世代へも影響する問題であることを知り、支援のありかた・社会の課題としての取組みに貢献したいと思うようになりました。

山本先生の画像

昨今の社会問題として「ゲーム・ネット依存」があります。今の日本はネットを断って暮らす事が難しい社会である一方、子どものうちからネット世界に耽溺することは害があります。それをどう予防していくか、自分なりにつき合っていくためのリテラシーをどう身に着けるのかが課題になっています。とは言いつつ実は私もネット依存気味ですが(笑) 映画も漫画や本も、情報も友達もみんなこの中にあるのですもの。特別な疾患でなくみんなが陥る可能性のある問題として、依存症一歩手前の人たちへの予防も考え、メンタルヘルスの問題に優しい社会をめざしたいですね。そのためにアディクション問題のある人とその家族の支援のありかたや、社会における取組みを探求しています。

また、相談を行っているソーシャルワーカー人たちの意識調査、相談を受けた人たちへの満足度調査など、インタビューや質問紙による調査なども行います。

最近やった精神保健福祉士のヤングケアラーに対する意識調査研究では、依存症を含む精神疾患のある人を対象に支援する中で、その背後にいる子どもにはなかなか目がいかないのですが子どもの主体的権利をきちんと理解している人はその子どもの困難に気づいて積極的に支援を始める傾向にあることが明らかになりました。精神保健福祉士が子ども支援に強くなるために、研修にこれを反映させていくことが大切なんです。

今後は地域の中で困難事例とされがちな複数の課題を抱えている家族、メンタルヘルスの問題が生じていることが多いのですが、この支援のありかたについて、家族システム論(家族のさまざまな問題を家族内の相互関係から捉える考え方)の適用と展開の可能性を追求していきたいと思っています。どんな家族も健康性や強みがある。そういうところに働きかけていくんですけど。

山本先生が研究用の書籍を探してる画像

「あなたにはどんな悪習慣が?」

アルコール・薬物・ギャンブル・ゲーム...。アディクション問題は本人がなかなか認めずやめないので、対応が難しいと言われています。あなただって好きなものを簡単にやめられますか?それでもやめていかなきゃならない、今日一日はやめよう、いやスリップ(再飲酒)してしまった、そんな人間くさい姿で回復していく歩みにワーカーとして立ち会えるとき、本当に感動します。人間ってすごいなって。身近な問題であるアディクション、まず興味を持ってもらえたらうれしいです。

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山本先生のプロフィール画像

医療福祉・マネジメント学科
医療福祉コース

山本 やまもと 由紀 ゆき
専門分野:
精神保健福祉分野のソーシャルワーク
担当科目:
現代の精神保健の課題と支援、精神保健福祉の原理、ソーシャルワークの理論と方法Ⅰ、メンタルヘルスソーシャルワークの理論と方法など